長期夜食の糖代謝及びQOLへの効果の検討 肝臓は生体の栄養代謝の中心臓器であることから、その機能不全をきたした状態である肝硬変症においては多彩な栄養代謝障害が生じている。近年、栄養代謝異常を改善するため短期間の就寝前夜食(LES)療法が有効とする報告が多数みられる。我々は、医師及び看護師の協力を得て入院から外来まで肝硬変患者の状態を長期的に評価した。エネルギーを30-35kcal/kg/dayとし、1日の総エネルギー摂取量を変えず朝食、昼食、夕食から夜食に配分し、夜食による体重増加に留意し、糖質を中心とした夜食を200kcal摂取するように繰り返し指導した。その結果、血糖コントロールが不良でありインスリン注射が必要であった患者が、インスリン注射の必要がなくなり血糖コントロールが良好になる結果が得られた。 外来通院中の肝硬変患者39名を対象とし、長期的にLESを行うことにより、治療の最終目標であるQOLが改善するのかを検討した。MOS Short Form-36 Health Survey (SF-36)を用いた健康関連QOL (HRQOL)評価では、肝硬変患者をLES非実施(NLES)群(n=24)とLES実施(LES)群(n=15)に無作為に割り付け、LES療法の長期継続効果について検討した。LES群では12ヶ月後の全体的健康感(GH)、6ヶ月後の精神的な日常役割機能(RE)及び6、12ヶ月後の心の健康(MH)のサブスケールにおいて有意なHRQOLの改善を認めた。 以上の結果より、LES療法の長期継続は糖代謝及びHRQOLを改善し有用であると考えられた。
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