本研究は、幼児の日常の身体活動量評価を実施するために、身体の傾斜や動作量の検出が可能な3次元加速度計であるアクティブトレーサー(GMS社製)などを用いて、身体活動の分類やエネルギー消費量(以下、EE)の精度に関する測定機器の妥当性の検討を行うことを目的とした。以下に、今年度の研究実績を示した。 1)アクティブトレーサーの装着部位、データの記録時間の検討などを行った。 2)測定を行なう活動の決定にあたり、先行研究を用いて幼児の日常生活にて頻繁に見られる動作をあげた。EEの測定は、マスクとダグラスバックを用いた間接法により実施した。幼児が安全、かつ可能な限り日常生活に近い状態で実施できる活動を選択した。 3)対象者となる5-6歳の男女幼児の募集を、付属幼稚園を中心に行った。本研究は、桜美林大学研究倫理委員会の許可を得て実施した。本研究の実施にあたり、同意を得た保護者への問診により対象者の病歴について確認し、甲状腺機能の異常など、エネルギー代謝に影響を与えると考えられる疾病についての既往歴がある者は対象から除いた。 4)対象者の腰部にアクティブトレーサーなどを装着し、幼児の日常にみられる9種類の身体活動を各々数分間行わせた。同時に、ダグラスバックを用いた間接法によりEEを測定し、アクティブトレーサーなどとの測定値との関係を検討した。その結果、アクティブトレーサーによって得られた三次元加速度計とEEとの間に曲線的な相関がみられ、低強度から高強度までの推定式を得ることができた。来年度は、その推定式を利用して幼児の日常生活の評価を行う予定である。
|