中村学園大学健康増進センターでは、新たに20名の肥満女性に減量指導を行った。その際、空腹時採血での血清脂質の測定、75g糖負荷試験による血糖、インスリン値の測定を行った。MRI撮影を行い腹部内臓脂肪面積、皮下脂肪面積を求めた。さらにDual energy X-ray absorptiometry(DEXA)を用いて、上肢、下肢、体幹部別の脂肪量を測定した。食事調査は3日間の秤量法で調査し、その際デジタルカメラにて食事内容の撮影を行った。既存のデータとあわせ、閉経前と閉経後女性で検討を行ったところ、閉経後群でのみ皮下脂肪面積と総コレステロール、LDLコレステロールの間に有意な負の相関が認められた。さらに、閉経後群では皮下脂肪と血糖値は極小点をもつ二次曲線関係を示した。このことから、閉経後群では皮下脂肪の蓄積に伴って脂質代謝が改善し、糖代謝に関しては皮下脂肪が低くても高くても血糖を上昇させることが示唆された。さらにDEXAを用いた体脂肪分布の結果から、肥満度が増加すると全体に対する体幹部および上肢の脂肪割合は増加するが、下肢の脂肪割合は減少していることが分かった。DEXAのデータについては例数が少なく、閉経前後で分けての検討は出来なかった。皮下脂肪の作用から考えると下肢および上肢の脂肪蓄積は腹部皮下脂肪と同様に脂質代謝改善に関わっているかもしれない。18年度にさらに例数を増加して検討を行いたい。データ解析を行うにあたって、統計学の専門的知識を深めるためにSPSS社が行っている統計解析トレーニングプログラムに参加し、解析を行う知識と技術を身につけた。
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