中村学園大学健康増進センターでは新たに18名の肥満女性を対象に減量指導を行った。空腹時に採血を行い、血清脂質、血糖、インスリン、ヘモグロビンAlcを外注測定した。MRIを用いて、腹部脂肪分布の測定を行い、内臓脂肪面積および皮下脂肪面積の計算を行った。閉経前女性146名、閉経後女性82名で検討を行ったところ、閉経後女性では閉経前女性に比べて腹部内臓脂肪面積が大きいにも関わらず、腹部皮下脂肪面積は逆に小さいことが判明した。すなわち、閉経もしくは加齢により腹部脂肪分布が変化していることが示された。閉経後女性では、閉経前女性に比べて総コレステロール、LDLコレステロール、アポリポプロテインBが高値であり、脂質代謝の悪化が認められた。閉経前後に分けて、腹部皮下脂肪面積と脂質代謝の関連を調べてみると、閉経後女性にのみ皮下脂肪蓄積に伴い総コレステロール、LDLコレステロール、アポリポプロテインの低下が認められた。一方、内臓脂肪蓄積が脂質代謝に及ぼす影響は閉経前後で同等であることが明らかとなった。この結果から、閉経後女性では皮下脂肪蓄積が脂質代謝異常の抑制要因になる可能性が示唆された。内臓脂肪蓄積は、閉経前後共通して脂質代謝を悪化させることが示された。今後は腹部皮下脂肪だけでなく、下肢、上肢の皮下脂肪についても検討を行いたい。この内容をまとめ、Experimental Biology and Medicineに投稿中である。
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