食品含有ビタミンB_<12>(B_<12>)の吸収については、食品によってその形状や物性またはB_<12>結合タンパク質の性質などが異なり、それぞれの食品および調理方法ごとに検討する必要がある。消化吸収能力が低下した高齢者にあっては、低たんぱく質症の発症とともにビタミンB_<12>レベルが低下して、循環器疾患の危険因子である血中ホモシステイン値が上昇することが知られている。さらに近年、このような高齢者においては食品中でタンパク質と結合しているB_<12>の吸収率が極めて低いことが報告された。このような背景から私は、今回の研究で種々の食品のB_<12>結合タンパク質との結合割合(低さ)と吸収のされやすさ、およびB_<12>結合タンパク質の消化作用の受けやすさについて、検討を行い、高齢者に最適な食品およびその加工方法の決定を試みた。試料として、鶏卵・サバ・だし汁について検討を行った。その結果、30分の胃内人工消化試験後に遊離型B_<12>の割合が高かった試料として卵黄の希釈加熱凝固物が挙げられ、また、かつおぶしから取っただし汁においてもその割合が極めて高い(90%以上)ことが示された。よって、これらの卵黄と鰹節からとっただし汁を使用した茶碗蒸しがもっともB_<12>の吸収のために望ましい食品の一つであることが明らかにされた(学会発表の欄参照)。さらに、調味料の影響についても検討を試みたが、発表を行うには至らなかった。また、有機肥料を施肥した野菜についてもB_<12>が含まれていることが明らかにされた。しかし、その存在形態についても検討を試みたが発表を行うには至らなかった。
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