生活時間配分からみた要介護高齢者のいる世帯における生活経営上の課題を検討することを目的に、実施計画にそって研究し、得られた知見は次のとおりである。 1.総務省統計局の「平成13年度社会生活基本調査」のデータ分析より、50歳以上でふだん介護をしている人は、介護をしていない人より睡眠や社会的文化的生活時間が短く、介護時間だけでなく家事時間も長くなっている。介護をしている人のなかでは、男性に比べ女性介護者の生活時間のゆとりのなさが顕著である。介護支援の利用の有無による家事時間には差がみられないが、介護時間は介護支援利用者のほうが長い。 2.先行研究より、高齢者介護の家族介護者ストレス、負担および被介護者との関係性について心理、社会的要因が明らかにされ、被介護者と介護者の相互関係に注目する必要性が報告されている。しかし、生活行動の視点から、被介護者と家族介護者相互の生活時間が、双方の生活におよぼす影響については既存の生活時間研究のデータから明らかにすることはできない。そこで国内外の生活時間調査の分類を整理し、介護される者と介護する者の相互作用をとらえる生活時間の分類枠組みを作成した。自由記述によるアフターコードによって、介護者、被介護者双方の生活時間を対応させて分析するものである。 3.生活時間調査票および対象者の属性と介護支援の有無等を問う聞き取り調査の質問紙を作成した。計画では今年度中にプレ調査を実施終了予定であったが、平成18年3月現在、協力者への調査を依頼中である。
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