生活時間配分からみた要介護高齢者のいる世帯における生活経営上の課題を検討することを目的に、実施計画にそって要介護高齢者と家族介護者への質問紙調査、聞き取り調査を設計した。当初、平成18年度実施終了予定であったが、高齢者とその家族ともに対象者選定が難航した。個人情報への配慮が高まっているごとはもとより、調査者の事情により調査予定地域を変更せざるを得ず、短期間のうちに協力者を得ることができなかった。当初の目的を達成するため、前年度までに得られた家族の介護状況と生活時間配分の実態をふまえ、要介護高齢者と家族の関わりをとらえるための対象として孫世代(高校生および大学生)に焦点をあて、新たに質問紙調査を計画、実施した。基本集計を終え、分析を進めている。現在までに得られた知見は次のとおりである。なお、成果の一部を家庭科教育学会第50回大会で発表予定である。 1.調査分析の結果、「孫-祖父母関係評価尺度」田畑他(1996)より、「存在受容機能」、「日常的、情緒的援助機能」、「時間的展望促進機能」、「世代継承性促進機能」の妥当性が見いだされた。孫が祖父母の機能をより認識しているほど、祖父母の介護への関わり意欲が強い傾向にある。祖父母が要介護者である場合にも祖父母の機能の認識が高いほど実際の介護への関わり状況も積極的である傾向がある。 2.同居の有無では、祖父母の機能、祖父母の介護への関わり意欲、介護の実態ともに関連はみられなかった。同居の有無を問わず、父方よりも母方の祖父母に対して、4つのすべての機能において孫世代の認識が高い傾向にある。
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