2005年度は、本研究の課題である(1)異なる食文化を持つ国々における企業のマーケティングによる日本食の普及プロセス、(2)現地消費者による日本食の受容と拒絶、および消費パターンの変容、(3)食における異文化接触と食文化の変容・融合、新たな食文化創造、国際化プロセス、以上3つのうち、課題の(3)に焦点を当て「食の異文化接触と融合」がどう具体化されたかといった点に関する分析を進めた。研究対象となっている<醤油>の国際マーケティングに関する文献や資料を収集し、先行研究で用いられた方法を摂取し、より詳しい分析を進めた。2005年12月には、独立行政法人日本学術振興会アジア研究教育拠点事業:「東アジア海文明の歴史と環境」第3回東アジア海文明セミナー「東アジア海文明における文化交流」報告者:趙 榮光教授(浙江工商大学)に参加し、中国から伝播した醤油の日本における変容と多様化、日本の食文化との融合について、報告者らと意見交換を行った。 また本年度は、次世代の食文化を担う<子ども>たちと海外市場における食品マーケティングに関する問題についても、研究を進めた。子ども向けの食品マーケティングの問題が顕在化している米国市場に注目し、現状と問題点を探った。子どもとマーケティングをめぐる問題については、下記のような研究成果の報告および論文執筆を行った。 1.「マーケティング・ターゲットとしての「子ども消費者」〜問われる米国食品企業の社会的責任〜」日本消費経済学会部会(2006年3月25日・福島) 2.「米国における子ども向けフード・マーケティングの動向:Self-Regulatory SystemとCARUガイドラインをめぐって」日本フードシステム学会全国大会(2005年6月19日・東京)
|