本年度は産後の母親について食育を行う上で、現状把握と問題点の抽出を行うことを目的とした。徳島県市町村栄養士研修会による協力の下、大学との協議を重ね、調査項目、実施方法を決定し、徳島県下11市町の産後2〜7ヶ月の母親をデータベースから抽出した。抽出した対象者にアンケートを郵送し、調査を行った。対象者へのインフォームドコンセントはアンケートに文書を同封し、調査の趣旨に同意した者のみが返送するようにした。調査に関する作業は大学、市町村栄養士が役割を分担して行った。対象者674名のうち、238名から返送があり、回収率は35.3%であった。対象者の平均年齢は29.8±4.2歳、妊娠前の平均BMIは21.0±3.3であった。出産の経験では初産婦が111名(46.2%)、経産婦が126名(53.3%)であった。妊娠前からの体重増加量では、産後4ヶ月まで減少する傾向が見られた出産後7ヶ月の対象者の平均BMIは21.6±3.4であり、妊娠前と比較して有意な差は見られなかった。産後5〜7ヶ月の対象者では、ボディイメージについて理想のイメージが現実のイメージよりも低かった者は、全体の86.4%であった。BMI≧25の割合は11%であり、全国平均(7〜11%)と差は見られなかった。一方で産後現在のBMIが18.5〜22.0の対象者では79%、BMIが≦18.5の対象者でも53%が減量を希望していた。食事の用意に時間を割いているかについて、育児サポートの有無と関連は見られなかった。自分と子供両方の食事に関心がない対象者は3%であった。対象者の72%が栄養士による個別栄養相談を希望していた。産後の母親では体重が妊娠前に戻っている者が大半であったが、ボディイメージの面ではやせ願望が強く、一般的な同年代の女性と比較しても顕著なことが明らかになった。また、食事への関心については環境によるものよりも本人の意識が大きく影響していると考えられ、この時期の母親への栄養指導(食育)の必要性と有効性が明らかになった。次年度は今回明らかになった問題点を基に、有効な事業計画を開発・実施し、有効性を検討する予定である。
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