本年度は産後の母親について食育を行う上で、前年度に引き続き現状把握と問題点の抽出を行うことを目的とした。徳島県市町村栄養士研修会による協力の下、大学との協議を重ね、調査項目、実施方法を決定し、徳島県下9市町の産後2〜12ヶ月の母親をデータベースから抽出した。抽出した対象者にアンケートと食事調査票を郵送し、調査を行った。対象者へのインフォームドコンセントはアンケートに文書を同封し、調査の趣旨に同意した者のみが返送するようにした。調査に関する作業は大学、市町村栄養士が役割を分担して行った。対象者698名のうち、294名から返送があり、回収率は42.1%であった。体重が二人新前に戻るのが望ましいと考えられる対象者の平均年齢は30.2±3.9歳、妊娠前の平均BMIは20.6±2.8であった。出産の経験では初産婦が89名、経産婦が95名であった。妊娠前からの体重増加量では、妊娠前と調査時の体重差は0.5±4.0kgであり、有意な差は見られなかった。調査時で肥満(BMI≧25.0)の割合は5.4%と全国平均と比べて低かったが、減量を希望している者の割合は低体重(BMI<18.5)で31.3%、適正体重(18.5≦BMI<25.0)では90.2%と効率であった。BMI≧25の割合は11%であり、全国平均(7〜11%)と差は見られなかった。-方で産後現在のBMIが18.5〜22.0の対象者では79%、BMIが≦18.5の対象者でも53%が減量を希望していた。また、食事面ではカルシウム、鉄などの栄養素をほとんどの者が適正量を摂取していなかった(カルシウムでは75.9%が不足、鉄では83.2%が不足)。産後の母親では体重が妊娠前に戻っている者が大半であったが、やせ願望が強く、一般的な同年代の女性と比較しても顕著なことが明らかになった。また、食事についてもこの時期に必要な栄養素の摂取量が不足していることが考えられた。次年度は今回明らかになった問題点を基に、有効な事業計画を開発・実施し、有効性を検討する予定である。
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