研究概要 |
本研究では産後の母親の妊娠前からの体重変化と減量希望について把握し、このライフステージの特徴を明らかにすることを目的とした。徳島県下7市町の乳児健診対象者(1ヶ月〜15ヶ月)の母親1,229名に妊娠前から現在までの体重状況、ボディイメージ図を用いた体型認識、減量希望に関する調査を実施した。その結果、産後の女性では、体重が産前に戻っているにもかかわらず、やせ願望が強いことが明らかになった。また、食事への関心は母親自身だけでなく、子供に対しても高かったが、母親の摂取量については、ビタミン、ミネラルなど平均値で不足している栄養素があった。また、育児に関するサポートについては食への関心、栄養素摂取量と相関は見られなかった。地域の事業や施設に対しては、育児に対する不安や離乳食、母親の食事のレシピに関する指導、市販品の栄養成分表示、託児所の設置など様々な要望が得られた。一方で、自身、子供の食事両方に関心がない等、健康面で将来的に問題をもつリスクが高い母親も存在していた。本研究で得られたデータから、妊娠中から産後まで継続した栄養指導の必要性とともに、食事や育児について、何らかの問題をもった母親のスクリーニングとそれに対応するプログラムの必要性が明らかになった。これは地域の保健事業を妊娠中から産後まで継続して行うことで母子共にフォローする重要性と病院などの連携の必要性を示唆していた。また、産後の母親のニーズ、問題点に対応した教育プログラムの開発が可能になり、今後はその有効性検討が今後の課題である。
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