研究概要 |
大豆イソフラボンのロイコトリエン放出抑制作用のメカニズム解明を目的として、マスト細胞株を用いたロイコトリエン放出調節機能検定系の確立を試みた。マスト細胞株はマウス由来PT-18およびPB-3cを用いた。培地にアラキドン酸を添加して種々の条件で培養し、カルシウムA23187刺激により細胞外に放出されたロイコトリエンB4(LTB4)放出量を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。PT-18およびPB-3cのLTB4産生能を比較した結果、PB-3cがPT-18の約2倍のLTB4産生能を有することを見出した。次に、PB-3cにアラキドン酸ナトリウム(AANa)もしくはアラキドン酸メチルエステルを添加して培養した場合を比較した。その結果、AANaを添加した細胞の方がLTB4産生能が高くなることが明らかとなった。また、AANaの添加濃度および添加時間の検討を行い、50〜100μMのAANaを添加して48時間培養した細胞においてLTB4産生量が最も高くなることを見出した。さらに、この条件で培養したPB-3cをすでにLTB4放出抑制作用が確認されている茶カテキン類(カテキン;C,エピガロカテキン;EGC,エピガロカテキンガレート;EGCg)共存下でカルシウムイオノフォア刺激した時のLTB4放出量を調べた。その結果、茶カテキン類のLTB4放出調節作用は、既報のラット腹腔内滲出細胞を用いた結果と同様の傾向を示していた。これらの結果は、本実験方法が大豆イソフラボンのロイコトリエン放出抑制作用のメカニズム解明に利用可能であることを示すものである。
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