研究概要 |
平成17年度は、群馬県倉渕村(現高崎市倉渕町)の全住民(約4,800名)のうち、基本健康診査(毎年9月初旬)を受診し、本研究に同意した者約1500名を対象に、基本健康診査の基本受診項目(身体状況、血圧、血液成分等)に加え、スポット尿を採取し、尿中ナトリウムとカリウムおよびクレアチニンを測定し、Tanakaらの推定式(Tanaka T et al. J Hum Hyp 2002)より1日あたりのナトリウム、カリウム、塩分排泄量を求めた。 基本健康診査を受診しかつ減塩に関する行動変容ステージ質問票に解答した1,427名のうち、尿を採取できた1,406名(61.7±15.3歳)について解析を行った。 減塩行動段階を次のような5つのステージ(維持期:減塩を6ヶ月以上実行している、行動中:減塩を実行中(期間6ヶ月未満)、準備期:減塩を近い将来行う意図がある、静観:減塩へ変容することを考えているが、減塩をはじめようとすることが6ヶ月以内、静観以前:食事の変容を試みる意図が全くない)に分類し、各ステージ別に1日あたりの尿中食塩排泄量を推定、比較した。 各段階の内訳は、維持期:507名(36.1%)、行動期:59名(4.2%)、準備期:217名(15.4%)、静観:63名(4,4%)、静観以前:560名(39.8%)であった。また、1日あたり尿中塩分排泄量(平均値±標準偏差)は、全体では、9.6±2.2g、維持期:9.5±2.2g、行動期:9.3±2.2g、準備期:9.9±2.1g、静観:9.6±2.2g、静観以前:9.6±2.2gであり、各ステージ間に有意な差は認められなかった。 1日あたりの尿中カリウム排泄量は、維持期(42.2±9.4mEq)と静観以前(40.2±8.9mEq)間において有意な差が認められた。来年度も同様の調査を行い、行動変容ステージと生体指標との関連を更に検討する予定である。
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