脂肪細胞に微量元素を作用させ、脂肪酸を遊離させる量を測定したが、差が見られなかったため、微量元素とビタミンの組み合わせによる血圧の影響の検討を試みた。 抗酸化物質によるさまざまな疾病の発症・進展予防効果が報告されているが、高血圧・動脈硬化等に関してもその予防効果が期待される。すなわち、食品から抗酸化作用を持つ栄養成分を摂取すると、血管自体の抗酸化能が高められ、細胞の損傷を軽減するため、血管全体を正常な状態に保ち、動脈硬化を防ぐとともに、高血圧の発症リスクを回避することが可能であると考えられる。 亜鉛は多くの生理機能を有し、抗酸化作用による効果の報告もみられている。また、ビタミンEは脂質酸化を防ぐ際にそれ自身がラジカルになり、これをビタミンCとシステインのような水溶性抗酸化物質により、リサイクリングされ元のビタミンEに戻り、再び抗酸化作用を示すことから相乗的に抗酸化作用を発揮するものとして知られている。 本研究では、正常血圧および腎血管性高血圧ラット(2K1C)に亜鉛のみ、亜鉛+ビタミンE、亜鉛+ビタミンE+ビタミンCを混合した食餌を自由摂取させ血圧への影響を調べた結果、正常血圧における影響は観察されなかったが、高血圧においては亜鉛+ビタミンE、亜鉛+ビタミンE+ビタミンCを混合した食餌群に有意な血圧低下が観察された。メカニズムについては現在検討中である。
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