研究概要 |
情報教育の学習内容に対する学習者の意識を概括的に捉え,その実態を検討することを試みるために,中学校技術・家庭,技術分野「B情報とコンピュータ」の学習内容に対する「興味・関心度」「知識・技術の理解度(自己評価)」及び「重要度」について調査を行い,3側面から得られる意識の実態や相互の関連性について分析し,学習内容の検討を行った。 高等学校1年生566名を対象に調査した結果,次のようなことが推察できると思われた。 (1)学習者は「B情報とコンピュータ」の学習内容を,概ね重要であると認識し,興味・関心も抱いているが,知識・技術の習得が低調であると自己評価している。 (2)「情報通信ネットワーク」の学習内容については,「興味・関心度」「自己評価」及び「重要度」の3側面とも高得点であり,高度情報通信ネットワーク社会を反映して,学習者にとって有用な学習内容であると認識されている。 (3)「コンピュータの利用」と「プログラムと計測・制御」の学習内容については,3側面とも低得点であり,情報リテラシー教育の観点から,学習者の実態に沿ったものに改善・検討していく必要がある。 (4)「B情報とコンピュータ」の学習内容に対する「興味・関心度」と「自己評価」,「興味・関心度」と「重要度」の相関係数が高いことから,「興味・関心度」を介在させて,学習内容の重要性や知識・技術の習得を意識化する構図が認められた。 また,情報教育のソフト面にあたる学習内容を再検討することが必要不可欠であるだけでなく,授業時間数や情報機器設備などのハード面を強化する必要性も示唆された。すなわち,学習者の十分な知識・技術の定着化を図るためには,より多くの授業時間,教材及び設備が供給され,適切な能力を有した教員の下で授業実践を行う必要性が指摘できた。 これらの成果について学会発表を行った。現在は論文投稿中である。
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