研究概要 |
これまでに筆者は,数センスの研究動向分析を実施してきている。それにより,数センスの育成の重要性が十分に議論されている一方,数センスの概念の明確化に不充分さが認められることが明らかとなった。今後,数センス育成の指導法開発を推進するにあたり,数センスの概念構造を明確化することが重要な課題である。本研究では,研究目的を次の三点に設定している。 ・研究目的1:数センスの調査問題,および数センスに関わる教材や問題を収集しデータベースを構築する。 ・研究目的2:数センスの概念構造の視点を導出,整理する。 ・研究目的3:数センス育成に対する示唆を議論し,研究課題を整理する。 本年度は,上述の研究目的1,および2に関わって研究を実施した。具体的な内容は次の通りである。 (1)算数・数学の学習指導要領に基づく教材等から,数センスに関わるものを収集した。また,国内外の調査問題を収集・整理し,その中から数センスに関わるものを整理した。国内の調査としては,教育課程実施状況調査や特定の課題に関する調査,国外の調査としては,PISA, TIMSSである。 (2)数センスの概念構造に関わる先行研究,および研究成果をまとめた。先行研究より,レイズ氏らが提案する数センスのフレームワーク,レズニック氏が提案する思考の方法としての数センスなど,数センスに関わる様々なとらえ方等を整理した。また,筆者がこれまでに議論してきている数センスの記述枠組みがある。これらのとらえ方を基に,数センス育成の方策を考える必要がある。
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