研究概要 |
本研究は,理数担当教員の独創性や科学的思考力を目指した教師教育カリキュラムを開発するとともに,開発したカリキュラムを実践的に活用しながら,その有効性を検討することを目的としている. 平成17年度は,(1)教師教育カリキュラム開発の礎となる理論的研究を実施した.また,(2)神戸大学発達科学部附属住吉校の教師らと連携して,授業実践の事例をビデオカメラで記録しムービーを作成するとともに,暫定的なコンテンツを編纂した. (1)教師教育カリキュラムの理論ベースの構築 学習の背景にある学習理論に対する理解深化と建設的な議論:教師が資質・能力を向上させ,実践者としての質的変容を遂げる際には,それまで意識していなかった学習の背景にある学習理論を認識し,それを自ら教室の中に意図的に持ち込むようになる.こうした学習理論に対する理解深化を促進させるためには,理論を知るだけでなく,理論が反映された実践の成功事例を基にその概念枠組みを真に体得する必要がある.それを実現させるには,独創的な実践が行われている実際の現場で基盤となっている学習理論と共に,その実践現場では何が起こっているか,児童・生徒らにはどのような効果をもたらしているのかなどの事例を検討しつつ,議論を深めていく必要がある. (2)教育現場と連携した教師教育カリキュラムに有効な授業実践のビデオ化:協同学習の理論を用いて授業を組織している教師の実践授業をビデオカメラで録画するとともに,場面ごとに協同学習理論の要素を解説したムービー素材をWebベースのコンテンツとして作成した.また,学習者の相互作用が科学的な理解の深化を促進している事例についてもコンテンツに含めた. 18年度への課題としては,上述したコンテンツを基に教師教育を実施する際,建設的な議論が積極的に行われるための足場かけが必要であることがあげられる.
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