研究概要 |
本研究の目的は,理数担当教員の独創性や科学的思考力を目指した教師教育カリキュラムを開発するとともに,開発したカリキュラムの有効性を検討することを目的としている. 平成18年度は,(1)前年度に作成した暫定版のコンテンツを修正しカリキュラムの開発を完成させ,(2)教員志望学生らを対象とした評価実験を行うとともに,(3)その結果から,コンテンツを元にカリキュラムを実施する際に有効な足場かけとなる研修用ワークシートの開発を行った。 (1)開発したカリキュラム:教師が資質・能力を向上させ,実践者としての質的変容を実現するためのカリキュラムとして,理論と実践を学べる学習コンテンツを作成した。カリキュラムは「理論編」と「実践編」から成り立っている。学習者はそれぞれを横断的に往来できる。また,独創的で効果的な実践を行っている理科授業の事例をビデオクリップにし,そのベースとなっている協同学習理論がどのように実現されているかを詳細に解説することで,児章・生徒らにどのような効果をもたらしているのかなどを具体的に示した。 (2)教員志望学生らを対象とした評価実験:教職必修科目である「授業システム論」を受講した国立大学法人の大学生(261名)を対象としてカリキュラムの評価実験を行った。その結果,本カリキュラムは,協同学習の理論の理解に役立つことや,実践における学習指導法の理解に役立つことが示された。また,カリキュラムを実施する際に,ビデオクリップに即した課題が出題されるワークシートを用いることの効果が見られた。 (3)研修用ワークシートの開発:(2)の評価実験の知見を元に,教員研修用ワークシートを開発した。ワークシートは,「基礎編」「実践編」「応用編」から構成されており,教師経験年数や力量に応じて使い分けることができる。また,課題の解答集には解説も併記している。
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