本研究では、地域ごとに小・中学校の地層観察の実施状況、教材内容、実施できない理由及び教員の意識を調査し、何が地層観察を阻んでいるか実態を明らかにすることを目的としている。また、教材の提供や研修の実施などの具体的な支援を行い、実施状況がどの程度改善するかについても研究を行っている。本年度は、研究の2年目にあたり、以下の研究を行った。 1.アンケート調査の分析 前年度行ったアンケート調査をもとに、全国の調査地域ごとの詳細な結果と地層観察を阻んでいる要因を分析した。学校の近くに露頭がないことを理由にあげる教員が多く、次いで授業時間に余裕がないことや、露頭までの交通手段がないことが理由としてあげられた。 2.地層観察実施地点の調査 前年度行ったアンケート調査によって、全国の各地域においてどのような場所で地質調査が行われているかの回答が集まった。この回答をもとに、各学校の教材内容を分析し、地質学的な特徴を明らかにしていく。今年度は北海道、神奈川県、千葉県、大分県を中心に調査を行った。その結果、地層観察を行っているほとんどの小・中学校は、規模の大きな露頭を観察対象としており、小規模な露頭を対象としている学校は少なかった。小・中学校教員の意識として、できるだけ大きいものを見せたいという希望があると推測される。また、学校のすぐ近くに小さい露頭があっても、観察対象にされないことが多いことも現地調査により明らかになった。 3.実施率の向上を図る地域における働きかけ 教材提供や研修実施などの支援を行った場合、実施状況がどの程度改善するかを明らかにするために、今年度夏季休業中に大分市において教員研修を実施した。
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