本研究は、教員採用試験から教職に就くまでの期間を利用し、理論と実践の往還運動を取り入れた、教員養成と現職教育を接続する教員養成プログラムを開発することを目的としている。この目的に向けて、本年度は次年度以降に採用直前期の支援プログラムを開発する基礎的研究として ・教職志望学生へのインタビュー調査から採用直前期の課題意識に関する質問項目の作成 ・質問紙調査を実施し、教職志望学生が採用直前期に抱く課題と支援内容の解明 ・既存のカリキュラムや支援体制の改訂とその効果の分析 を実施した。具体的には、平成17年8月から10月にかけて教職志望の4年次学生にインタビュー調査を行い、従来の教員養成カリキュラムで補いきれていない、かつ教職志望学生が求める支援内容について、多様な意見を抽出した。とりわけ、教育実習では経験することが少ない学級経営や校務分掌などに焦点をあて、教職志望学生の課題意識を解明した。以上のインタビュー調査をもとに質問項目を作成し、平成18年度から教育現場に赴任する学生を対象として、平成18年2月に質問紙調査を実施した。100名超の学生による回答結果を今後分析し、次年度以降のカリキュラム開発に生かす予定である。また、教職課程において採用前に実施している情報教育科目や学校ボランティア活動のカリキュラムおよび支援体制を開発・試行し、その効果を検証した。 本年度の研究により、教職への熱意はあるが、具体的な準備ができていない教職志望学生が採用直前期に抱える課題を把握でき、次年度以降にその課題解決に向けた教員養成プログラムを提案する基礎資料を収集することができた。
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