研究概要 |
子どもの生きる力や確かな学力を育成する上で,教育活動を直接担う教員の養成が重要な課題となっている。 このような課題に対し,教員養成と現職教育のそれぞれのカリキュラムを考察するとともに,その接点をいかに連続するかが重要といえる。このような状況に応えるべく,インターンシップ等のような取り組みが見られるが,これは単に実践経験の場を提供するのみで,文部科学省(2001)や日本教育大学協会(2004)が提案した実践経験と理論的考察の往還関係が十分に機能しているとは言えない。そのため,教員養成から現職教育へのスムーズな移行に向けた,接続時期の教員養成プログラム構築が求められている。本研究では,教員採用試験から教職に就くまでの期間を利用し,理論と実践の往還運動を取り入れた,教員養成と現職教育を接続する教員養成プログラムを開発することを目的としている。 昨年度は,教職志望学生に対して採用直前期にアンケート調査を行い,同時期に学生が抱える課題や,そこで求める支援について探索した。本年度は,このアンケート調査をもとに,採用前研修プログラムを開発し,試行した。開発したプログラムは6日間にわたり,平成19年2月末から3月上旬にかけて行った。受講者は平成19年4月から教職に就く6名である。プログラムの各テーマは,(1)これからの教職生活+4月の授業って何だろう,(2)小学校6年間の学習ってどうなってるの?,(3)教室環境について考えよう,(4)教師の仕事は授業だけではない,(5)学校ってどんな仕事があるの?,(6)先生に聞いてみようであった。同プログラムを受講した学生を対象として,事前と事後にアンケート調査を行っており,今後詳しく分析するとともに,来年度以降のプログラムの再構築に生かしていく予定である。 現在,平成20年度から大学4年次を対象として,必修科目「教職実践演習(仮)」を設けることが検討されている。その一方で教員養成大学では,その具体的なカリキュラム開発に取り組み始めている。本研究で得られた知見は,こういった教職実践演習にも適応可能であり,さらなるプログラムの充実に取り組みたい。
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