研究概要 |
膨大なWebドキュメントの中から教材として有用なドキュメントをいかに検索するかは,その有効活用のために重要な課題と言える.これに対し,様々な教材検索手法が提案されているが,特定の授業に専用の教材や手作業による分類等の処理がなされた教材など,検索対象が限定されるのが現状である.一方,実際の書籍等ドキュメントの探索では,教員・学習者間あるいは学習者同士の間(以降,「学習者間」と表記)で,様々な主観的な知識が共有され,その主観性が近い他の学習者からの「この本は役に立った」という形のごく抽象的な表現・伝達による情報を手がかりとして,有用なドキュメントの発見に至ることが多い.本研究では,学習者間での主観的知識の表現・共有を反映可能な教材検索手法の開発を目的とした. 目的達成のために,1)学習者間の主観性類似度を意味的距離として表現し,2)個々の学習者の視点から見た各教材同士の関係を教材間の意味的距離として表現する.その上で,3)検索を行う学習者と,それら学習者が1)に基づいて決定する主観性の類似した参考学習者,それぞれにとっての教材間の意味的距離関係を融合することにより,最終的に上記教材検索手法の開発を目指す.その第一ステップとして,学習者間・教材間それぞれの意味的距離関係の構成要素の分析を行い,表現手法の定義を試みた.研究活動やプログラミング教育など,教材検索に関係するいくつかの具体的な対象について,個々に以下の作業を実施した. ・教材の検索や共有・管理の過程と,そこでの学習者間の様々な主観的知識の表現・共有についての観察・検討 ・学習者間・教材間それぞれの意味的距離関係と学習テーマの関わりについての観察・検討 ・学習者間・教材間それぞれの意味的距離関係の構成要素の分析 ・学習者間・教材間それぞれの意味的距離関係可視化システムの設計 ・個々の対象についての支援システムのプロトタイプの設計
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