研究概要 |
本年度は,栃木県内の小学校における習熟度別学習の実態を調査し,そこから必要な教材の機能について検討した。まず実態調査は,栃木県内の小学校(427校)に対し,アンケートを郵送し,その回答(回答数334校,回答率78.2%)から行った。その結果,以下のことが明らかになった。 (1)実施状況について:回答のあった334校のうち,習熟度別学習を実施している学校数は182校(54.5%)であった。一方,152校(45,5%)の学校では,実施していなかった。その理由として多かったのは,「少人数学級のため必要ない」という趣旨のものであった。また,実施している教科について調査した結果,学年にかかわらず最も実施されている教科は「算数」(どの学年でも95.7%以上の割合で実施)であることが分かった。 (2)クラス編成について:習熟度別学習を実施するためのクラス編成の方法について調査した。その結果,87校(60%)が児童主体でクラス編成をしていることが分かった。しかし,この方法では,児童の能力に適したクラス編成が困難であるとの指摘もあった。 (3)コンピュータの利用状況について:習熟度別学習にコンピュータを利用している割合を調査した結果,利用している学校は27校(15.3%)であった。一方,利用していない学校は149校(84.7%),その中で利用したいと考えている学校数は84校(54.2%)であった。このことの理由の多くは,「適したソフトウェアが無い」,「コンピュータ環境の脆弱」であった。また,「コンピュータでは,児童同士の学び合いを阻害する」という意見もあった。このことから,習熟度別学習に適したソフトウェア教材の開発が必要であることが分かった。 以上のことから,本研究で開発する教材は,教科を「算数」とし,学習者の能力に応じて段階的な学習が行えるとともに,学習者同士の学びあいを支援する機能を持つものとした。次年度は,具体的な教材を作成し,その効果を検証する。
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