研究概要 |
近年,ネットワーク技術とマルチメディアを活用したe-Learningシステムが,教育現場の様々な場面で利用され始めている.本研究が目標とする講義を復習するための自主学習向けe-Learningシステムに関しても,講義ビデオや教材スライドと共にデジタルインクにより講義行程を再現するシステムが多く存在する.しかしながら,講義再現に主眼を置いた既存のシステムでは,学生への支援機能が乏しく,そのほとんどが講義ビデオと講義スライドを同期的に再生させるための講義再現のみに留まっている.本研究では,講義中の様々な受講情報(質問/回答,SOSイベントなど)とセンシングデータから抽出された覚醒度,理解度,集中度などを利用することで,講義中の学生の状態に適した自主学習(主に講義の復習)を実現するための講義再現システムを構築している.具体的に,H17年度は下記の支援機能を実装している. (1)覚醒度情報のインディケータ 覚醒度情報は講義中の学生の覚醒状態を表す情報である.これらは3段階の覚醒度として区別され,その度合いに応じてスライダバーの色を変化させる.これにより,学生は講義中に話を聞き逃した箇所を効率よく見つけることが可能である. (2)学生の操作履歴の表示 講義中のイベント検出は,学習者の理解度や集中度変化を意味することが多い.そこで,支援機能では,学習者の集中度が低い箇所,あるいはSOSボタンの検出により講義中に分からなかった箇所を重点的に復習できるようにするために学生のイベント情報を時間毎に表示する. (3)キーワード検索 学生の理解を補助するために,音声とスライドを対象としたキーワード検索機能を設けている.以上の支援機能により,学生が講義を復習する際の学習効率の向上を図っている.
|