本研究の目的は、課題解決型学習を対象にした学習支援モデルの開発とその学習環境で必要とされる学習支援エージェントの構成法を提案することである。研究目的を遂行するために、以下のサブゴールを設定する。 (1)課題解決型グループ学習を対象にした学習支援モデルを開発する。具体的には、教員養成学部の情報教育授業を対象にしてグループによる課題解決的学習を設計する。そして、Web上を含めた学習支援スキル及び学習支援者間の相互作用から協調的学習支援手法を抽出し、モデルを提案する。 (2)Web上で実施される課題解決型グループ学習を対象にした遠隔授業アシスタント(遠隔TA)の学習支援手法を開発する。具体的には、高校におけるグループによる課題解決学習に大学生が非同期的に遠隔TAとして参画する授業を設計する。そして、Web上で行われた学習支援を分析しモデル化する。 (3)課題解決型グループ学習における学習支援エージェントの構成法について提案する。具体的には、この学習形態で必要となる学習支援機能を抽出し、学習支援エージェントモデルとエージェント間インタラクションモデルを設計する。さらに、それらを組み込んだ学習支援環境を構築し、開発した学習支援モデルと学習支援環境を利用して実践を行い、学習環境及びモデルの妥当性を検証する。 上記のサブゴールを達成すべく、第二年度は以下の研究項目を実施した。 [1]Web上で実施される課題解決型グループ学習における遠隔TAの授業支援手法の開発 昨年度に引続き、高校におけるグループによる課題解決的学習に大学生が非同期的に遠隔TAとして参画する授業を昨年度の問題点を考慮した上で設計した。そして、授業に必要な授業支援環境を開発し実践した。さらに、Web上で行われた学習支援を分析し、昨年度の結果と比較しながら、遠隔TAとしての学習支援手法を再検討した。 [2]学習支援機能の抽出と学習支援エージェントの設計・実装 第2年度までの課題解決型グループ学習の実践ログから学習支援機能を抽出した。そして、学習支援を遂行するエージェントモデルを知識工学的手法に基づき設計し実装した。さらに、エージェント間インタラクションモデルを設計し実装した。 [3]第2年度研究打合せ及び研究成果の発表 エージェント研究専門家との研究打合せを行った。また、第2年度の研究成果を日本情報教育開発協議会及び教育システム情報学会の全国大会で発表した。さらに、国際学会(WBE2007)で発表した。
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