研究概要 |
電子ホログラフィック・ディスプレイは,自然な立体動画表示が可能という点で大きく期待されている.近年のITブームによって携帯情報端末の開発競争が激化し,表示素子の高解像度化が急ピッチで進んでいる.そのため,高解像度化したLCDパネルを用いて3次元ディスプレイを研究することで,3次元ディスプレイの実用化も可能と考える.本研究ではホログラフィを用いた立体動画像の表示技術と,画像伝送技術を融合させることにより,遠隔教育に適用可能な3Dテレビシステムを開発することを目的としている. 本年度は,以下の成果を得ることができた. (1)実物体から取得したホログラムを伝送する上で必要なホログラムの圧縮法について基礎検討を実施した.JPEG2000(ウェーブレット変換法)を用いた,ホログラムデータの新しい圧縮法を検討した.従来のDCT法に基づくJPEG圧縮法に比べて,圧縮率が高い上にホログラムのデータ損失が少ないことが明らかとなり,ホログラムデータの圧縮法として極めて有効であることが明らかとなった.これは,ホログラムデータを伝送ノイズの影響が小さいディジタルデータとして伝送可能な,ディジタルSSTV方式でも採用されているものであるため,今後の遠隔教育システムへの応用が大いに期待できるものである.以上のようにして得られた研究成果を国内外の学会で提案したところ,大きな反響が得られている.そこで,詳細な追加検討を実施して,これを論文発表した. (2)遠隔教育に応用する意味で必要となる「立体動画像と音声を同時に配信するためのネットワーク上伝送システム」について理論的検証を踏まえた上で,その成果を国内外の学会に発表すると共に,この内容を論文発表した.国内外から大きい反響を得ている. (3)受信したホログラムの表示を行うためのシステムとして,ホログラフィ立体像投影装置の画質改善を行った.得られた成果を国内外の学会へ発表すると共に,論文発表した. (4)立体画像を提示したときに,ヒトが立体画像をどのように認識するかについてアンケートを用いた統計処理を行い予備検討とした.これは,遠隔教育へ立体画像伝送システムを適用する上で必要なデータとして期待される.
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