研究概要 |
本研究の目的は,小学生がインタラクティブ・メディアを利用した知識創造を行う際の,1)個入内での知識変容,2)個人間での知識伝播,3)協同による知識創造について,総合的に理解し,知識創造過程をモデリングすることにある.これらの目的を実現するために,短期間かつ単発のトライアルではなく,より長期にわたり,同一の子どもたちを対象とした実証実験が必要である.そこで,本年度は実証実験システムの開発と約3ケ月にわたる知識創造実証実験を実施した. 実証実験システムの開発として,CMS (Contents Management System)の1つであるXoopsをプラットフォームに利用し,そこでインタラクティブ・メディア,掲示板,ブログ,ニュースなどのサービスを統合し,インターネット環境から利用できるXooPOCを開発した.実証実験は(財)大阪市青少年活動協会の協力を得て,小学生5-6年生を対象とする主催事業「ジュニアデジタルクラブ」内で実施された.参加者児童は月に2度集まり,グループでさまざまな取材活動を行い,その際の自分たちの体験や感想,取材によって得た知識を個人ごとに取材メモとしてまとめた.また,それらをグループで共有し,番組という形に編集して発表し,相互に批評しあった.本実証実験を通じて,インタラクティブ・メディアを利用した知識創造の場において,どのようなコミュニケーションが行われ,結果として,それらがいかに知識創造に結びつくかに関して,子どもたちの毎回の作業の様子(作業風景とPC画面)を録画したビデオデータ,メディア利用状況を示すサーバログ,作成される取材メモと番組,アンケートなどのデータを収集した.次年度はこれらの結果の整理,分析を行い,知識創造過程のモデリングを行う予定である.
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