平成17年度は、システムに用いる光学系及び光学部品について調査した。赤外線カメラには冷却型及び非冷却型がある。一般的に冷却型は高価で検出感度が良いが検出波長領域が狭く、非冷却型は廉価で検出感度が悪いが検出波長領域が広い。また赤外線カメラの検出波長領域には3〜5ミクロンと8〜13ミクロンの2種類がある。5〜8ミクロンの波長帯は空気による吸収のために通常は使用されない。検出器自体は5〜8ミクロンの波長帯にも感度があるが、カメラの前のフィルターで波長5〜8ミクロンの赤外線をカットしている製品が多い。もしフィルターを取り外すことが可能ならば、非常に幅広い波長領域に対して感度のあるカメラになるが、残念ながら取り外し可能な製品はなかった。市販の放射温度計及び暗視カメラの光検出方式、検出波長帯、ピクセル数、感度、価格等を調べ、目的と予算を考慮した結果、赤外線カメラとしてアビオニクス社製のTVS-700を選択し、購入した。 光源として出力140Wのセラミックヒーターを購入した。また、分光器として150線/mm及び75線/mmの回折格子を購入した。分光器の設置位置の候補として、光源・試料間及び試料・カメラ間の2箇所が考えられるが、試料温度の上昇を防ぐために、光源・試料間に分光器を設置した。光源と分光器は共通のベースプレート上に設置し、両者のFマッチングを行った。 システムの性能を評価するための試料として、有機フィルムを購入し、その赤外吸収スペクトルを測定した。また、そのほかの試料として、プリンタ用インク、ボールペン、無色蛍光ペン、植物油等を購入した。
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