研究課題
過去100万年のインドモンスーン変遷史の解明を目指して,カトマンズ盆地の古気候・古環境を高精度に復元する研究を行った.従来の研究で採取されていない最終氷期以降の連続した泥質堆積物が分布する地点の地質調査を行なった。さらに、連続した試料を得るために現地でボーリングを行い、総計18mのコアを採取し(総計31日間)、その記載・堆積学的研究を行った。また、既に得られたボーリングコアの花粉分析から、約21万〜1.1万年前の古気候の概要と5万〜1.1万年前の詳細な古気候(100〜数100年に相当)を明らかにした。しかし、より正確で詳細な古気候変動を復元するために、光学顕微鏡による花粉分析を行った試料を用いて、種毎に分布する高度が異なるコナラ属の種レベルでの同定を走査型電子顕微鏡を用いて行った。現世花粉試料は、東京大学総合研究博物館や同大学院理学系研究科附属植物園の植物標本から採取させて頂いた。コナラ属の花粉を走査型電子顕微鏡で観察した結果、最終氷期最盛期の寒冷・乾燥気候の層準で、2100m〜森林限界まで分布するQuercus semacarpifoliaが増加したことが判明した。これらの成果については次の2つの学会で発表を行った:日本地質学会第112年学術大会「最終間氷期以降のインドモンスーンの変遷史-SEMを用いたカトマンズ盆地堆積物の花粉分析の試み-」、日本花粉学会第46回大会講演要旨集「最終間氷期以降のカトマンズ盆地の植生・気候変遷史-SEMを用いた花粉分析の試み-」。現在その成果をまとめ、論文を執筆中である。また、水辺や乾燥地など異なる環境に分布しているイネ科については、亜科あるいは可能な限り属レベルで同定を行うために、位相差顕微鏡を用いて観察・同定を行った.
すべて 2006 2005
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Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology (In press)
The Journal of the Geological Society of Japan 111・11
ページ: XX
日本地質学会第112年学術大会講演要旨
ページ: 338
日本花粉学会第46回大会講演要旨集
ページ: 29