研究概要 |
これまでの研究で,南極ドームふじ雪氷コアには,光の散乱強度の変動が存在し,その変動がグリーンランドで採取された雪氷コアと同様に年変動に対応している可能性から,氷床コア解析で重要な氷の年代の決定に要素に貢献できる可能性を示唆した.しかし,南極ドームふじの涵養量が小さいため,従来の解析手法では,散乱光強度の変動要因について調べることが難しかった.そこで,氷中で光の散乱を引き起こす内部物質の形状・サイズおよび位置情報を明らかにし,年層との関係を明らかにするとが,本申請の目的である. 本年度は,詳細な顕微鏡解析を行なうための準備を行なった,サブμmオーダーの粒子を検出するため,デジタル顕微鏡の最大倍率で撮影する.この条件では,画像の幅が40μmとなる.このサイズの粒子の位置分布を得るためには,撮影位置を連続的に移動させ5〜10mm四方の撮影を行なう必要がある.数ミリ四方を撮影には,数万枚の画像の撮影が必要となる.そこで,XY軸を制御し撮影を行なう自動システムを構築した.次に,予備実験として,粒径0.2μmの微量のシリカ粒子を人工的に含ませた氷試料を作成し観察を行なった.表面付近のシリカ粒子の検出に成功したが,非常にコントラストの悪い画像であった.数万枚の画像を処理するためには,画像処理による解析が不可欠であり,そのためには,コントラストが良好な画像が必要となる.そこで光源方法の検討を行ない,透過光による方法に改良中である. また,これまで検出できなかった微細な光学層位の測定を目的として,高感度カメラと自動ステージによる装置の開発中である.
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