研究概要 |
オゾンの"weekend effect"とは、都市域で比較的人間活動の少ない週末において、オゾンの前駆物質である窒素酸化物、一酸化炭素や炭化水素の濃度が平日と比べて低くなるにもかかわらず、オゾンの濃度が逆に高くなる現象のことである。平成17年度ではまず、東京都と大阪府にけるO_3,NO_x,NMHCなど10種の大気汚染物質データと日射量,風向など6種の気象データを用いて"weekend effect"の有無について調べた。その結果、多くの地域において"weekend effect"が存在することが見出された。次にその要因について解析により調べた。まずNOによるオゾンの消失過程に着目した。NOはオゾンと反応し、以下の式(1)によりNO_2に変換される。 NO+O_3→NO_2+O_2(1) 大気中に一次排出されるNO_xのほとんどがNOであるため、オゾンの減少分がNO_2の増加分と等しくなる。即ち、NOとオゾンの和については変化しない。そこでオゾンとNO_2の和をO_xと定義した。実際には一次排出されるNO_2(=0.1×NO_x)を差し引きO_x=O_3+NO_2-0.1×NO_xとし、平日・週末それぞれの日内変動を比較した。 大阪府においては、O_xは平日・週末で同じ、もしくは平日の方が週末より高い傾向にあった。オゾン濃度が平日に比べて週末に高かったことを考慮すると、平日に式(1)によってオゾン濃度が低くなっていることが主な原因であることが示唆された。しかしながら、東京都においてはO_xの値も特に夏場で高くなる傾向が見られ、大阪府とは別の要因が存在すると考えられる。 また、当研究機関においてオゾン濃度、CO濃度の連続観測について2006年1月より始めた。
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