近年、北方森林の火災が大幅に増加し、燃焼だけでなく永久凍土の融解と森林の崩壊による温暖化効果ガスの吸収減と放出増が心配されている。また、北方森林の火災は規模が大きく、乾燥気候により同時多発するため消防活動も難しい。それゆえ現地の地域社会において、火災による財産の滅失だけでなく、避難や交通の障害による経済活動の停滞の影響が発生する。そこで、本研究では米国アラスカ州の北方林を研究対象地とし、大規模な森林火災による地域社会への経済的な影響に関してリスク評価を行う。そのために、1.リスク評価対象とすべき事象の範囲を決定し、2.リスク評価指標を構築し、3.先述の関係プロジェクトより得られる森林火災延焼予測情報をもとに将来のリスク評価を行うことを目標とする。以上の目的を踏まえ、平成18年度は、以下の研究を実施した。17年度に引き続き、新聞の収集や現地住民への聞き取り調査をもとに波及範囲を把握し、現地関係機関の統計等を入手して、現地コミュニティへの影響を調査した。リアルタイムなリスク評価を行うために衛星画像による森林火災検知アルゴリズムの改善と準実時間の検知システムを構築した。ただし今年度は森林火災件数が少なく、火災延焼中の地域での現地聞き取り調査ができなかったため、文献調査と火災延焼リスク算定システムの構築を優先した。
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