研究概要 |
北極圏における森林火災は近年その規模が大きくなっている。そのため,現地住民の森林火災に関する関心は非常に強くなっている。火災の現地地域社会へ与える影響を推定する準備として,2つの研究を行った。まず火災検知アルゴリズムの改良を行い,並行して,住民火災への関心を調査した。 NASAが開発したMOD14アルゴリズムは全世界の林野火災を検知するために最適化され,各国での火災検知による消防活動支援に役立っている。しかし,火災検知にはfalse alarmやomission errorなどの誤差がまだ多く,依然として改善が必要である。この改善を行うため,JAL国際線航空機から発見された火災について情報収集し,火災観測データベースを構築した。このデータベースを元に,衛星観測情報を分析し,MOD-14アルゴリズムをもとにした新しいアルゴリズムを提案した。このアルゴリズムは,火災検知に際して主成分分析により火災の微弱な信号を検出することを試みるものである。新アルゴリズムにより,暫定的な検証によりMOD14よりも30%多くのホットスポットを検出でき,新たな偽火災は発生しなかった。さらにこのアルゴリズムによる火災検知結果を,IARC-JAXA Information Systemを用いて公開した。 平行して火災の与える影響は,現地住民の関心に反映されると考え,現地住民の関心を代表する新聞記事を調査した。火災そのものの報道だけでなく,健康影響や,避難状況等,具体的な影響を主として,半径200km程度の範囲の火災に関する報道が多くを占めていた。
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