本研究では、アフリカ・西アジアにおいて育まれてきた伝統的な牧畜システムを対象として、砂漠化対処策定の際に基礎となるデータの収集と解析を行うことにより、それらの結果を地域の特性に適した現地活動として発展的に応用するための具体策を構築することを目的としている。 本年度は、これまで長期にわたる現地調査にもとづき考察を行ってきたスーダンの紅海沿岸域の事例から導かれた特質を基本的分析枠組みとし、北アフリカの諸社会との比較を目的とした現地調査と資料解析を行った。 現地調査においては、アルジェリアのサハラ砂漠に位置するオアシスを訪れ、同地で発達してきた農牧システムとの相違点を比較した。とくに、オアシスにおけるナツメヤシを中心とした農牧生産システムにおける家畜飼料としての利用について情報を収集した。 また、イタリアのフィレンツェに創設された「伝統的知識世界銀行」を訪れ、乾燥地域における伝統的知識の発展的応用に関する資料を収集し、研究者との意見交換をした。 資料解析に際しては、PostScfipt対応のカラープリンターを購入し、詳細な土地利用と牧畜システムをまとめた図表の作成に力を注いだ。
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