欧州の都市計画に対する、計画段階での環境影響評価(戦略的環境アセスメン:SEA)制度、とくにEUによるSEA指令以降の制度・運用実態の調査を実施した。その結果、評価項目(環境のみを評価/環境・経済・社会を評価)を軸として、イングラドに代表される持続可能性評価と、オランダをはじめとするによるEIAベース型のSEAに体系化することができた。また、運用実態としては、イングランド、オランダともに量的評価ではなく、質的評価を行っているが、イングランドがエキスパートジャッジメントなどを多用している反面、オランダではGISが中心的な手法であった。また、イングランドでは、開発の場所だけではなく、開発の是非、量、方法なども代替案として提案されているのに対し、オランダでは開発の場所のみが代替案として提案されている。両国の戦略的環境アセスメント制度の利点として、イングランドの制度では(1)開発の是非など意志決定の早期段階から影響の予測・評価が可能、(2)地球環境問題への影響を予測・評価可能、オランダの制度では(1)アセスメントの結果と意志決定の関連性がわかりやすい、(2)短期間で実施可能があげられる。反対に欠点として、イングランドでは、(1)時間がかかる、(2)アセスメントの結果と意志決定の関連がわかりにくい、オランダでは(1)代替案が開発の場所のみである、(2)地球環境問題への影響評価ができない、などがあげられることが明らかになった。 タイにおける戦略的環境アセスメントの動きと事例に関する調査を実施した。その結果、天然資源環境省及び国際機関により、戦略的環境アセスメント実施事例がいくつかあることが明らかになった。 来年度は、タイにおける事例と制度調査を行い、イギリス型、オランダ型どちらの方法がタイに適しているか、どのようにその方法をタイに適用・受け入れ可能なように変更していくべきなのかについて研究を実施する予定である。
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