水素エネルギーに関する社会的受容性を明らかにするため、まず、水素ステーションの設置と燃料電池車による走行試験が行われている鹿児島県屋久島において住民アンケート調査を行った。この調査では水素エネルギーに対する認識や導入意向だけでなく、実証試験に伴って行われたマスコミ報道や環境教育などの普及啓発活動などとの情報接触状況についても把握を行い、これらの関連について分析を行った。この結果、マスコミ報道や普及啓発活動と住民の水素エネルギーに対する認識との間には関連があることが確認された。 次に、都市部での水素エネルギーに対する社会的受容性について明らかにするため、AHP法を用いた意識調査を東京および神奈川に住む大学生を対象として行った。この結果、燃料電池車に対する評価では安全性に関する情報が重要であることなどを明らかにした。また、水素ステーションが設置されている神奈川県相模原市において、屋久島と同様な住民アンケート調査を実施するための準備を行った。相模原市では2005年秋から市と企業、大学などが共同で燃料電池研究会を発足させ、燃料電池の開発と水素エネルギー社会に向けた取り組みを始めたところであり、この研究会との共同でアンケート調査を実施するための準備を行った。 さらに、来年度にアイスランドのレイキャビック市における市民意識との比較研究を行うため、今年度はアイスランド新エネルギー機関およびアイスランド大学を訪問し、同種の調査などを行っている関係者との打合せを行った。この結果、2004年度に行われた市民アンケート調査の結果について情報提供を受けることおよび2006年9月にアイスランド大学にて大学生向けアンケート調査を行うことなどで合意した。
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