研究概要 |
浅海域底層の生物環境の良否を簡易に評価する指標として、世界中の海に生息する特徴的なパルス音を終始発しているテッポウエビに着目した。その一分間あたりの発音回数(パルス数)が環境指標として利用可能であるかを探ってきた。本研究は、これまでの研究を受け、本手法を実用化するための課題を解決し、テッポウエビの発音計数による浅海域生物環境評価法が誰にでも利用可能できるものにすることである。 平成18年度は、テッポウエビカウンターの設計・製作をおこなった。 1.パルス計測システムの開発 水中マイクとテッポウエビカウンターで構成される計測器の試作器の開発を行った。テッポウエビカウンターは水中マイクで録音した水中音響を周波数フィルター処理した後、パルス計数をおこなう仕組みをもつ。試作はパルスを計数するための3つのパラメータを任意に調節する機能を有している。現在、海域および実験室にて、試作器のチューニングを実施している。 2.測定条件明確化のための海域調査と室内実験 上記で作成したテッポウエビカウンターを利用し加古郡播磨町の人工島を中心に周辺海域においてテッポウエビ類のパルス数と溶存酸素濃度、水温などの水質の環境調査を実施中である。 3.既存の環境指標生物との関係の明確化 当初、考えていたようにテッポウエビ類に生態やパルス音に関連する文献は多数存在するが、他の生物との関連を述べた論文や書籍が少ない。今後も引き続き学会参加あるいは文献検索を通じて情報を収集していきたい。 研究成果は、2006年11月30日〜12月2日に開催された建設技術展2006近畿のポスターセッションにて報告した。また,現在、海洋音響学会の研究論文を投稿中である。
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