研究概要 |
大気浮遊粒子状物質由来のDNA付加体を部位特異的に1箇所もつプラスミドをそれぞれ作成し、ヒト培養細胞内で複製させ、TLSの頻度と突然変異パターンを明らかにすることを目的に実験を実施した。最終的には付加体ごとに付加体1分子あたりのTLS頻度や突然変異誘発率を比較する。対象とするDNA付加体は、大気浮遊粒子に含まれるディーゼル排ガス由来の物質で変異原性・発がん性が認められている3-ニトロベンズアントロンの付加体(dG-(C8-N)-ABA,dG-(C8-N)-AcABA,dG-(C8-C)-AcABA)、化石燃料燃焼で生成しタバコ煙にも含まれ膀胱癌を起こす4-アミノビフェニルの付加体(dG-ABP)、ディーゼル排ガスに含まれエームス試験において既知化合物中最強の変異原性を示すジニトロピレンの付加体(dG-1A6NP,dG-1A8NP)であるが、本年度は4-アミノビフェニルの付加体(dG-ABP)に焦点を絞った。 まず、解析用シャトルベクターを作製した。即ちヒト-大腸菌シャトルベクターpZ189からSV40T抗原/ori配列を切り出し、申請者がこれまで用いて来た大腸菌用TLS解析プラスミドに組み込むことで、ギャップを持つプラスミドの母体とした。また上述のdG-ABPを1カ所のみもつ13bpオリゴヌクレオチドを作製、現有のHPLC及びPAGEで精製した。両者をライゲーションし部位特異的付加体修飾プラスミドを作製した。次年度、これらを用いてTLSの頻度と突然変異パターンを解析する。
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