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2006 年度 実績報告書

軟X線照射後に生成するDNA鎖切断末端の分子化学構造の定量化

研究課題

研究課題/領域番号 17710051
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

藤井 健太郎  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究職 (00360404)

キーワード軟X線 / DNA / 鎖切断 / 酸化的塩基損傷 / K殻励起
研究概要

軟X線照射によるDNA鎖切断機構について、その定量的評価が本研究の主な目的である。本年度はSPring8軟X線ビームラインにおいて、プラスミドDNA(pUC18)薄膜に対して、単色軟X線照射を行い、塩基除去修復酵素(NthやFpg)処理をおこない、鎖切断および塩基損傷の定量を行った。照射エネルギーとして、270,380,435および560eVを選択した。それぞれ、炭素K殻吸収端前、炭素K殻吸収端後、窒素K殻吸収端後および酸素K殻吸収端後のエネルギーの相当する。
照射後試料をTE緩衝液で回収し、主鎖切断によるコンフォメーション変化をアガロース電気泳動法により調べた。また、酸化的塩基損傷の収率はFpg及びEndo IIIの二種類の塩基除去修復酵素(グリコシレース)で処理(37℃、30min)し、酵素の持つAPエンドヌクレース活性により塩基損傷部位を主鎖切断に変換することで定量化した。得られた一本鎖切断(ssb)および塩基損傷の照射エネルギー依存性から、270,380および435eVの主鎖切断およびグリコシレースで認識される塩基損傷の収率はほぼ一定であるのに対し、酸素K殻吸収端より高エネルギー側の560eVではその収率の顕著な増加が見られた。また、グリコシレースで認識される塩基損傷の収率は鎖切断とほぼ同じような特徴を示した。我々の軟X線を用いた分光学的研究において、酸素K殻光吸収によるグアニン塩基の酸素K殻励起領域での特徴的なラジカル生成や、糖(デオキシリボース)分子の分解が確認されており、今回確認された560eVでの顕著な鎖切断や塩基損傷の収率の増加の原因のひとつとして、DNA分子中の酸素K殻光吸収による上記のようなラジカル過程及び化学結合の解離と引き続き起こるイオンの脱離が考えられる。
得られた成果は、9月に札幌市で開催された日本放射線影響学会、10月に高崎市で開催された放射線化学討論会および1月に広島市で開催された日本放射光学会において発表した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] クラスターDNA損傷の生物効果2006

    • 著者名/発表者名
      鹿園直哉 他
    • 雑誌名

      放射線生物研究 41巻・4号

      ページ: 409-423

  • [雑誌論文] DNA Damage Induced by The Direct Effect of He Ion Particles2006

    • 著者名/発表者名
      A.Urushibara 他
    • 雑誌名

      Radiation Protection Dosimetry 122

      ページ: 163-165

  • [雑誌論文] Yields of Strand Breaks and Base Lesions Induced by Soft X-rays in Plasmid DNA2006

    • 著者名/発表者名
      A.Yokoya 他
    • 雑誌名

      Radiation Protection Dosimetry 122

      ページ: 86-88

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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