本研究では低環境負荷・低コストで金属ナノ材料が作製可能な超音波ナノファブリケーション技術を用いて、この非線形な反応場のコントロールを行い、ナノ材料の表面性状や形状等のモルフォロジーの制御技術の確立を行う。そして、理論的観点及び実験的証拠から非線形である超音波反応場の検討を行い、エコ・ファブリケーションのための超音波反応場の可能性を探索し、新規ナノ材料の開発指針を得ることが本研究の目的である。 本年度は、以下の項目で研究を行った。 <超音波を用いた貴金属ナノ材料の粒径・形態制御>これまでの研究で超音波出力・周波数・溶媒・熱伝導率等の反応場条件を変化させることにより、生成物の形態制御が可能であることが判明している。そこで反応場の微調整が可能な装置を用い、詳細に反応条件を検討し、シングルナノからサブミクロンまでの粒径制御、ナノワイヤー作製のための形態制御技術開発を行った。高分解能TEM観察は九州大学のナノテク支援プログラムと連携し評価した。分散剤を使用なしで、分散性の良いシングルナノメーターサイズの白金ナノ粒子を作製する技術及びナノワイヤー作製の基礎技術を確立した。 <超音波反応場のメカニズム解明に関する研究>超音波反応は進行・生成プロセスにおいて不明な点が多いため、KI溶液を用いた吸光度測定により超音波反応場の強度の評価とナノ粒子粒径及び形状変化との相関関係の調査を行った。超音波の強度や周波数は反応時間に密接に関係し、これらの諸条件の調整はナノ材料の形態制御に有効であることを実験的に明らかにした。
|