研究概要 |
亜硝酸イオン(NO_2^-)経由の硝化脱窒プロセスの導入を見据え、NO_2^-還元速度(NO_2^-脱窒速度)の速い活性汚泥微生物群集を把握し、同群集を処理槽内に維持する操作因子を解明することが本研究の目的である。本年度は、横浜市の水再生センターから12の活性汚泥サンプルを採取し、そのNO_2^-脱窒速度を測定した。また同サンプルの微生物群集解析を行い、NO_2^-脱窒速度と微生物群集構造の関係を調べた。 水再生センターで採取した活性汚泥サンプルを恒温槽内のガラスビーカーに移し、CH_3COONa,NaNO_2を添加した。続いてNO_2^-濃度を経時的に測定し、NO_2^-脱窒速度を算出した。結果、12サンプルのNO_2^-脱窒速度は、1〜5[mgN-gMLSS^<-1>・hr^<-1>]の範囲の値をとった。一方、NaNO_2の代わりにNaNO_3を添加し、同12サンプルのNO_3^-脱窒速度を算出したところ、0.2〜7[mgN・gMLSS^<-1>・hr^<-1>]の範囲の値をとった。また各サンプルのNO_2^-脱窒速度とNO_3^-脱窒速度の比を調べたところ、値は0.7〜20の範囲であった。そこでNO_2^-脱窒速度/NO_3^-脱窒速度>1となるサンプルをグループA、<1となるサンプルをグループBとし、各グループにおけるNO_2^-還元酵素遺伝子nirK,nirSをPCR-RFLP法とPCR-DGGE法で解析した。その結果、グループ特有のnirK,nirSが複数存在することが示唆された。 来年度はまずグループA,Bそれぞれに特有なnirK,nirSの配列を特定し、その系統的位置を把握する予定である。また実験室規模の処理槽において、上記で特定した系統的位置に属する微生物を保持する操作因子を明らかにするとともに、その操作因子がNO_2^-脱窒速度に与える影響を調べる予定である。
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