再沈法における良溶媒としてピリジンを貧溶媒としてメタノールを選択することにより、ハイブリッド化に最適な長期間安定且つ単分散なC_<60>ナノ結晶を室温で得ることができた。得られたC_<60>ナノ結晶メタノール分散液に最適濃度に調整した金属層前駆体としてのAgNO_3もしくはHAuCl_4水溶液を加え、これにUV照射を行いC_<60>ナノ結晶表面に存在する各金属イオンを還元することにより金属ナノ粒子を得た。 再沈法における良溶媒・貧溶媒の組み合わせを変えた場合(例えばピリジン-メタノール、二硫化炭素-メタノールなど)、結晶型はどのナノ結晶もfccであるが、モルフォロジーはしま状や花びら状のものなど多種にわたることが判明した。ハイブリッドナノ結晶作製の為には単分散で球状なナノ結晶を得る必要があり、この事から良溶媒としてピリジンを、貧溶媒としてメタノールを選択するに至った。得られたC_<60>ナノ結晶メタノール分散液を用いて作製したハイブリッドナノ結晶のSEMからナノ結晶表面上に各金属ナノ粒子が析出している様子を確認している。これらハイブリッドナノ結晶は粉末X線回折によりシェルがAgナノ粒子の場合、完全なAgが観測され、シェルがAuナノ粒子の場合、完全なAuではなくAu_2Sが含まれることが分かった。一方で良溶媒にトルエン、N-メチル-2-ピロリドンなどを用いた場合、C_<60>ナノ結晶表面に析出する金属ナノ粒子は非常にサイズが小さくなることも分かった。さらに、金ナノ粒子を用いたハイブリッドナノ結晶の作製において、[H^+]濃度やUV照射時間を変化させることによりShell層の厚さをコントロールすることにも成功している。一例として、ナノ結晶分散液中の[H^+]濃度を希薄条件にした場合、ナノ結晶表面に金属ナノ粒子が密に析出する傾向が見られた。
|