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2007 年度 実績報告書

二層カーボンナノチューブのボロンドーピング効果

研究課題

研究課題/領域番号 17710096
研究機関信州大学

研究代表者

林 卓哉  信州大学, 工学部, 准教授 (80313831)

キーワード二層カーボンナノチューブ / ホウ素添加
研究概要

二層カーボンナノチューブにホウ素を添加することによってチューブ集合体としての導電率が向上することを見出した。これはホウ素添加とそれに続く熱処理によって二層チューブの結晶性向上と場合によっては融合が促進されたためであると考えられた。個別のチューブ束の場合にはチューブの結晶性,TEM内プローブとチューブの接触状態,そしてチューブと基板の接触状態の三つの要素によって導電性の値にばらつきが生じたものと考えられた。熱処理による結晶性の向上とチューブ/基板の接触状態は改善が可能であったが,プローブとチューブ束の接触状態は二層チューブの柔軟性により改善が困難であったため,データとしてはホウ素未添加の試料との有意な差が見出されていない。ホウ素と同様に重要な添加物であるフッ素を二層チューブに添加してEELS,Raman分光,フォトルミネッセンス,UV分光を行ったところ,フッ素化により二層チューブは外層のみが選択的にフッ素化されることを見出している。導電性の測定は今後の課題であるが,低下するものと見込んでいる。これらの結果より,二層チューブのドーピングがホウ素添加による外層同士の融合促進やフッ素添加による外層のフッ素化など,主に外層に対して影響を及ぼすことが明らかとなり,ラマン,フォトルミネッセンスにより内層が基本的に影響を受けていないことが分かった。このことから二層カーボンナノチューブは内層にナノチューブの本来の物性を期待し,外層を機能化したハイブリッド材料として利用することが可能であることを示した。この知見はナノチューブを利用した複合配線技術や,デバイス応用の際に交差するチューブ同士の影響や基板上に配置することによるチューブの物性変化を最小限にとどめることを可能にするという点で重要な結果である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Selective Optical Property Modification of Double Walled Carb on Nanotubes by Fluorination2008

    • 著者名/発表者名
      T.Hayashi, D.Shimamoto, Y.A.Kim, H.Muramatsu, F.Okino, H.Touhara, T.Shimada, Y.Miyauchi, S.Maruyama, M.Teronnes, M.Dresselhaus, M.Endo
    • 雑誌名

      ACS Nano 2

      ページ: 485-488

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and Isolation of Molybdenum Atomic Wires2008

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Muramatsu, Takuya Hayashi, Yoong Ahm Kim, Daisuke Shimamoto, Morinobu Endo, Mauricio Terrones, and Mildred S. Dresselhaus
    • 雑誌名

      Nano Letters 8

      ページ: 237-240

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mechanical Properties of Carbon Nanomaterials2007

    • 著者名/発表者名
      Takuya Hayashi, Yoong Kim, Toshiaki Natsuki, and Morinobu Endo
    • 雑誌名

      Chem Phys Chem 8

      ページ: 999-1004

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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