研究概要 |
強震動シミュレーションと各種構造物の動的解析を連成させた「統合地震シミュレータ」の開発及びその高度化を行った.本シミュレータは,所定の地震シナリオに対し,断層から地盤までの地震波動伝播計算を行い,'その結果を都市内の構造物の一つ一つに入力し,高精度・高分解能の震災情報を得ようとするものである.現実の都市からデジタルデータを抽出し,必要十分な精度で仮想都市を計算機上に再構成する.このデータ集積体である仮想都市(プラットフォーム)に各種構造の耐震解析プログラムをプラグイン化して組み込み,必要十分な精度の各種数値シミュレーションを行い,結果を可視化・評価し意思決定に役立てる. 本年度は,都市デジタルデータ(GIS/CADデータ)のデータ構造を設定・全体システムの効率化・シミュレーションの高精度・高分解能化を行い,旧神戸市街地・文京区・東京駅周辺等を対象としたシミュレーションを行った.本年度の検討により,既存のGIS/CADを用いてほぼシームレスに本シミュレータを適用できるようになった.さらに,いままでは,構造物の被害のみに焦点を絞ったシミュレーションのみを行っていたが,国土数値情報を元に道路データを本シミュレータに取り込み,新たにネットワーク被害解析ができるように機能を拡張した.また,ネットワーク被害を元に人間の避難解析機能も追加した.最後に,構築したシミュレーションシステムのフレームワークに関する検討等を行い,システムのデータフローの定義を行った.これらの検討を通して,本アプローチの有効性を示すことができた.
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