本研究では、超大規模な錐計画問題を実用的な計算資源でロバストに解くアルゴリズムの開発を目的としている。 2次錐制約を半正定値制約や非負制約と統一的に扱う枠組みを考案した。Iまた、ロバストな解法を実現するため、主双対内点法が破錠しないような計算スキームを提案し、プログラミング言語C++で実装した。その結果、錐計画問題を主双対内点法によって安定的に解くソフトウェアの開発に成功した。 超大規模な対称錐計画問題は、入力データの多くはゼロである。このような疎性を主双対内点法でより有効に利用するための前処理法を提案した。さらに、この前処理を高速に行う方法を実装した。これにより、問題の疎性の利用し、主双対内点法を効率よく実行することが可能となった。 最後に、同様の数理計画問題を解く他のソフトウェアとの比較実験を行うことにより、本研究の有効性を実証するができた. これらの成果を専門分野の研究者に紹介し、学術交流を通じてその意義を明らかにするため、11月に行われたINFORMS (オペレーションズ・リサーチとマネジメントサイエンスのフォーラム)の年会にて研究課題の発表を行った。また、学術論文として論文誌に投稿する準備中である。 本研究により、主双対内点法などの数理計画法について詳しくない研究者でも、簡便に超大規模な錐計画問題を安定して解くことができるようになる。それは、構造最適化・システム制御・組合せ最適化・非凸計画・量子化学・統計・金融工学のような様々な工学分野における研究や開発に対し、非常に大きなサポートとなる。
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