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2006 年度 実績報告書

電子機器火災の発生および延焼メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17710131
研究機関北海道大学

研究代表者

中村 祐二  北海道大学, 大学院工学研究科, 助教授 (50303657)

キーワード火災現象 / 着火 / 燃え広がり / 燃焼 / 危機管理 / 電気火災 / 安全工学 / 低圧
研究概要

電気機器の高電圧化および高電界化が進み,その安全対策はきわめて重要な課題である.特に火災原因として知られる被覆電線などは,燃焼にあずかる高分子材である被覆部と心線である金属導電体とが極めて異なる熱伝導特性を有するため,思いがけない燃焼形態をとる.前年度(H17)では,電線火災を想定したモデルの下で燃焼実験(ショートを想定した着火)および数値計算(着火および燃え広がり)を行い,その特性把握を試みた.その結果,着火については解析結果と実験結果がよい一致を示したが,燃え広がりについては相当する実験(微小重力環境が必要)が困難であるために,解析結果の妥当性を検証することができない.本年度では,この燃え広がり実験の問題を回避すべく,相似則を用いて微小重力環境と輸送過程を同程度になるような「低圧空間」を用いて研究を展開した.なお,あまり知られていないが宇宙飛翔体や飛行機内部には低圧条件が課せられることが常であるため,この研究は航空機火災の安全性や宇宙開発の安全性を評価するものとして今後の展開が期待できる.
低圧空間では酸素量が減少するため,通常は燃えにくい(=燃え広がり速度が低下する)と考えられており,実際に過去の研究ではそういわれていたが,電線火災は研究例がない.実際に実験を進めていくと「低圧になるほど酸素が少ないにも関わらず燃え広がり速度は単調に増加する」ことがわかった.これは微小重力場と類似した結論であるが,酸素量の面からすれば素直に受け入れ難い事実である.心線を通じた熱伝導輸送がその大きな要因であり,実験結果から推測した熱収支によれば,未燃の高分子が受ける熱の半分以上が心線を通じた熱伝導であることがわかった.このように熱伝導1生の高いものの存在が,これまでの安全規格の概念を覆す可能性があることが指摘された.今後低圧火災についてさらに研究を進めていく予定である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 低圧場における高分子被覆導線の燃え広がりに関する研究2007

    • 著者名/発表者名
      中村祐二, 松村智洋, 吉村野歩子, 伊東弘行, 藤田修
    • 雑誌名

      第23回宇宙利用シンポジウム

      ページ: 129-132

  • [雑誌論文] 低圧雰囲気下での電線火災の危険性に関する研究2006

    • 著者名/発表者名
      中村祐二, 吉村野歩子, 松村智洋
    • 雑誌名

      第43回日本伝熱シンポジウム講演論文集 Vol.II

      ページ: 457-458

  • [雑誌論文] 低圧下における電線燃え広がりの基礎特性について2006

    • 著者名/発表者名
      中村祐二, 吉村野歩子, 松村智洋
    • 雑誌名

      平成18年度日本火災学会研究発表会概要集

      ページ: 160-163

  • [雑誌論文] Flame Spread over Polymer-Insulated Wire in Reduced Pressure Environments : Comparisons to Microgravity Phenomena2006

    • 著者名/発表者名
      Y.Nakamura, N.Yoshimura, T.Matsumura, H.Ito, O.Fujita
    • 雑誌名

      Proc. 5th International Symposium on Scale Modeling (ISSM5)

      ページ: 196-205

  • [雑誌論文] 低圧空気流速中における電線の火炎燃え広がりに関する研究2006

    • 著者名/発表者名
      松村智洋, 中村祐二, 吉村野歩子, 藤田修, 伊東弘行, 山根清隆
    • 雑誌名

      第44回燃焼シンポジウム講演論文集

      ページ: 406-407

  • [雑誌論文] 低圧環境での導線燃え広がり挙動に関する研究2006

    • 著者名/発表者名
      吉村野歩子, 中村祐二, 松村智洋, 藤田修, 伊東弘行, 山根清隆
    • 雑誌名

      第44回燃焼シンポジウム講演論文集

      ページ: 408-409

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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