研究概要 |
1)クライムマッピング(警察庁)と高解像度写真を活用した犯罪発生箇所の同定 警察庁科学警察研究所で公開している犯罪密度地図を用いて,ひったくりや空き巣など身近な犯罪が多発する地域を空間的に分析・把握した.具体的には,京都市を対象に,クライムマッピングに都市計画図や住宅地図等をレイヤーとして重ねるによって,対象地域での犯罪発生箇所を同定しながら,犯罪発生の多い都市空間(公園,団地,学校など)条件を明らかにした.ここでの検討結果は,次の市民とのまち歩きを効果的に実施するための基礎情報として活用した. 2)まち歩きの実施による地域モラル情報の収集・整理 地域の防犯上の安全・危険性を把握するために,1)で得られた犯罪空間情報をもとに,醍醐地区の小学生と共にまち歩きを実施した.ここでのまち歩きとは,実際に犯罪の発生した場所を見て歩き,そこでのモラル情報(GPS位置情報,状況写真,施設の維持管理状況の記録)を収集し,住宅地図上に整理していく作業とした.得られた情報を,1)で構築した犯罪空間GIS上に入力した.その際には,GISに関する基礎知識や支援ツールの使用方法について市民ユーザーにもわかりやすく,入力しやすいようなインターフェイス設計を行った.この成果は,従来の行政主導型の犯罪マップとは異なり,自分たちの住む地域の情報を,自分たちの参加活動によって,モラル情報に加えていくため,当事者意識の向上につながることが期待された.
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