研究概要 |
『流体計算技術(CFD)と地理情報システム(GTS)を融合した新しい防災・緊急支援寸策システムの開発』を実現するために,以下に示す個別研究開発を実施した. ◎GISとの連携による効率的な3次元建物および実地形形状デジタルデータの整備と構築 従来,複雑地形や地上建物の形状を3次元デジタルデータとして取得し,数値流体シミュレーションの入力データとして利用するには多大な労力が必要であった.具体的には,対象建物とその周辺の街区を構成する構造物の入力が作業上の大きなボトルネックになる.従来までは,白地図や現地調査などで周辺の地形を個別に把握し,CADソフトや解析ソフトのモデラーを用いて1つ1つ入力するのが一般的であった.しかしながら,こういった作業の繰り返しでは効率が上がらないばかりではなく,複雑化する入力内容に対して人為的ミスも誘発しかねない.さらに,既存の市販データは極めて高価である. そこで,一般的に入手可能な既存の3次元デジタルデータ(DMデータ,レーザー測量機データ)を取り込む手法をGIS技術と連携させることにより開発した.同時に,デジタルデータを元にした格子生成も,良い所ばかりではなく利用するに当たって注意が必要な点がいくつかある.その1つがノイズの的確な除去である.測定時の機械的・電子的ノイズの混入が避けられない場合は,測定時に地表面付近にあるものは総てスキャンされるので,レーザーで感知できる樹木や車・人間なども数値化され,データの中に含まれることになる,実用的な解析格子を生成するためには,適当なノイズ除去機能を用いて対象建物の周辺の街区を適切に構築する必要がある.このノイズ除去方法の手法も検討を行った.さらに,それらを流体シミュレーションの入力データとして自動的に変換する技術を開発した,結果として,流体シミュレーションの前処理の作業時間は数日から数時間に大幅に短縮化された.既存データがデジタルデータとして入手できない場合には,紙面上の地図や図面から,3次元デジタルデータを効率的に取得する手法を,CADシステムとGISを連携させることに手法を開発した.
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