本研究では社会を構成する複数主体の情報システムがどのような関わりを持つべきなのかについて調査と検討を行っている。ここでは、社会を構成する主体として企業、個人、行政を取り上げている。 特に、地域社会内での行政情報システムを基盤として調査・分析を行い、企業、個人、行政による総合情報システムの在り方について検討し、その実現に向けての発展段階的なアプローチを試みている。 昨年度までに行った自治体の情報システム部門への調査から得られた情報化施策の方向性や現状、課題などを踏まえて、今年度は住民満足度の向上への工夫や自治体の経営力として評価方法への実例、および、SNSやNPOを介した住民の行政参加について、那覇市、沖縄県、紫波町、佐賀県、長崎県、三田市、掛川市、宇治市、吹田市などを調査した。 調査の結果から、住民満足度へつながる自治体の情報化の取り組みが、情報化においても行政の効率化においても重要であることが明らかになってきた。そこで、総合情報システムの発展段階の一つとして、技術面の発展から組織の発展へと進展するプロセスについて検討を行っている。 また、昨年に引き続き、総務省・LASDECによるシステムコストの調査と研究代表者が参画している電子自治体進展度調査とを組み合わせた分析を実施し、客観的な評価方法の確立も進んでいる。 来年度以降は、発展段階の構築とその実用性に関する調査、検証、検討を行い、総合情報システムの実現が持続型社会にどのように貢献できるかについて考察を行う。
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