研究概要 |
地盤震動における地盤の増幅度と関係の深い地盤の平均S波速度を,地盤情報がない地域においても簡便に比較的精度よく推定ことを目的として,地形分類と標高などの定量的な地形計測情報を用いた手法を応用した,簡便な手法を構築するための基礎的な検討を行った。地形条件として,従来用いられてきた標高のほかに,流域によって地盤を構成する土砂などの堆積状態が異なることが推察されるため,広域における個々の流域界を利用した。流域界の情報は国土数値情報を利用した。 地形分類と標高,流域界単位での起伏量,傾斜などの地形指標のほか,流域界に含まれる水系情報を用いて,ボーリングデータから計算される深さ20mまでの地盤の平均S波速度との関係を分析した。 ボーリングデータは,関西圏地盤i情報活用協議会の情報に基づいて関西圏から400本を選定した。選定条件は,(1)N値の得られている深さが少なくとも20m以上あること,(2)河川からの距離が50m以内であること,(3)一つの流域界で1〜3地点程度にとどめ,広い地域からデータを選ぶこと,とした。その情報から地盤の平均S波速度のデータベースを構築した。 平均S波速度データと各種地形条件との関係を地形分類ごとに整理し,地形指標の標高,傾斜流域界単位での起伏量,傾斜,流域界の形状を示す縦横比などと比較した。その結果,地形分類と地形指標を単一で用いた場合の平均S波速度のばらつきはいずれも大きく,精度よく地盤特性を推定するには至らなかった。ばらつきの程度は地形分類によって傾向は異なるが,その原因として地盤特性には何らかの地域性が存在することが考えられる。 この地域性を取り除くために,水系ごとにデータを整理して地盤特性と地形指標との比較検討を行った結果,扇状地など特定の地形分類については,.比較的相関が高くなる場合がみられた。
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